神道と塩
神道というのは、慥か其の謂われと云うか出自と云うかがはっきりする、つまり、どんな経緯で出来上がったかが或る程度判明している宗教なんではなかったっけ?
要は天皇の先祖を神に仕立て上げ、其処に道教の教義やら呪術的要素やらを取り入れた宗教なんじゃないかと思うが、とすれば神道で云う「神」とは即ち「天皇の御先祖様」であって、神社とはその「御先祖様」を祀った所だ。
併し霊能者はよく、「神社に行って何々をしなさい」だとか「あすこの神社は清浄なパワーが漲っている」とか「何々神社の神の力に御縋りしなさい」とか言う。
何故だろう。只の御先祖様だったものが、本当に神になってしまったものだろうか。
ま、いいや。処で神道と云えば「塩に由るお清め」という事が有る。
以下塩の情報。
イオン反応式 Na+ + Cl- → NaCl
化学反応式 2Na +
Cl2 → 2NaCl
組成式 NaCl(分子ではないので分子式は無い)
構造式 Na−Cl
式量 58.4 amu
融点 1074 K (801 °C)
沸点 1738 K (1465 °C)
密度 2.2 ×103 kg/m3
結晶構造 面心立方格子構造
溶解度 35.9 g in 100g water
電子式
模型
扨、これ等の情報の何処に清めの効果の秘密が隠されているでしょうか。
或る神道系の本を手に取ってパラパラと捲って居たら、塩に関する記述が出て来た。
其の本は某有名神社の宮司さんが書かれた本である。謂わば神道教義に精通する第一人者とも言える方が、神道に於ける塩の位置づけをどう捉えて居られるかという点に興味を惹かれた私は、ちょっと立ち読みしてみた。文章丸々覚えていないので、概略だが以下の様な内容である。
「塩というのは地球創成期にマグマから海に溶け出したと言われています。ですから塩はマグマ(地球)のエネルギーなのです」
私は海の形成過程で塩がどの様に海水に含まれていったかはよく知らない。
酸性だった海が岩石を溶かして様々なイオンが海に溶け出した結果、今の様な塩辛い海になったとも言うが、だとしたらマグマから溶け出したといっても大筋で大差あるまい。
併し、マグマに含まれていた成分が「マグマのエネルギー」とはどういう事か。
「○○だから△△です」と言われると、うかと信じてしまいそうになるが、よおく文章を読み直してみよう。
(似た事例に、某格闘家の
「『E=MC2』。即ち物質とエネルギーは等価であり、エネルギーの波長が小さくなると物質化するのです。ですから、「有難う有難う」とか、「私は強い私は強い」と毎日言う事に因って、有難いと思う事柄が生じたり、自分が強くなったりと、物質化が起こるのです(それを物質化と云うのか?)。」
という認知症を患ったかの様な自説が有る。この様に、話の前半と後半が「〜ですから〜」の様な接続詞で繋がっている様に装っていても、主語と述語の両者に必ずしも因果関係が有る訳ではないと云う事である。)
まあ良い。
マグマの成分=地球のエネルギー=魔除け効果アリ
すると他のイオンもそうだが、マグマに含まれる硫黄やら金属元素やらも地球のエネルギーという事になり、魔除け効果が期待出来るのだろうか。
更に、概略以下の様な事も仰って居られる。
「食物を塩漬けにすると細菌の繁殖を抑えて食物が長持ちすると言われていますが、私は塩の持つ清めのエネルギーが働いているからだとも思うのです」
そんな「言われてるが信じません」みたいな・・・。
然も調べた風ではなく、「思うのです」って・・・。
「清め効果で腐らない」というのはどうも「腐敗させる細菌は不浄なもの」と謂わんばかりであるが、腐敗といっても細菌はただ食って分解してるだけである。人間だって他の生物の体を食って分解するではないか。大なり小なりほぼ同じ様な事をしているに過ぎない。
腐敗菌は、生きていて抵抗力のある生物は分解出来ない。塩漬けにされる様な死んだ生物を食って分解しようとしてるだけだ。
火葬の風習が広まったのは近世に入ってからだろうが、それ以前、土葬が主流だった頃、彼ら腐敗菌が働いてくれなければ、世の中は死体だらけになって、地球上の栄養素の循環もなくなってしまう。彼らも立派に食物連鎖に貢献しているのだ。
それを「清め効果で腐らせない」等とは・・・。
(参考)
塩の濃度が高い所に細菌等が近付くと、浸透圧で細菌の内部の水分が奪われてしまって細菌が繁殖し難い。 |